百面相とは
顔の表情をいろいろに変えること。また特に、手ぬぐいやつけひげなどの簡単な小道具を用いて、いろいろと顔つきを変えてみせる寄席芸。
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例のごとくふと記憶が蘇りました。
特にオチもありませんが、テレビを見てたらふと思い出したので書いていきます。
中学生時代の一番古い記憶が「三善君の百面相」である。
それは中学生に入学して、クラスの自己紹介の時の出来事。
中学一年生の私は学生服という慣れない服に戸惑いながらも、これから始まる新生活に希望を持っていた。
中一の私
私は、モジモジしながら適当なことを言ってたんだと思う。
自分が何を言ったのかすら覚えてないが、三善君という同級生の自己紹介は強烈だった。
三善くんとは小学校が違うことから、全くの初対面だった。
体が大きく大抵無表情で、おでこに大きなホクロ。
ましてや丸坊主であることから、 どの角度から見ても大仏にしか見えなかった。
で、自己紹介。
私の次がその三善君だった。
三善君
三善 『○○小学校から来ました。ミヨシです。』
三善 『好きなことは○○です。』

・
・
・
そして、特技について彼はこんなことを言った。
三善 『特技は百面相です( ゚д゚ )クワッ!!』
教室 『・・・・・・』
誰も「百面相」というものを知らなかったのだろう。 クラスが静まり返った。
私も例外ではない。
私 (・・・ひゃく・・めん・・・・そー・・・って何だ・・・・)

反応のない教室の空気を察したのか、先生が「すごいね。」と言った。
私 (そんなにすごいことなのか・・・大仏君やるな。)
先生の言葉に気を良くしたのか、三善君はこう続けた。
三善『・・・やります。』

教室「!!!!!!」




教室「・・・・・」


教室「・・・・・・・・」
まるで三善くん以外の時間が止められたかのように、誰も反応できないでいた。
どうリアクションとっていいのかわからない。

私「・・・・」
・
・
・

先生「・・・!!み、三善!!もう・・・いいぞ。。ありがとう。」

50面ぐらいで止められた三善くんは、かなり不満そうだった。
無表情には変わりないが、明らかに納得いってない。
まるで、セコンドの投げたタオルが舞う中、ファイティングポーズをとるボクサーのように。
「ま、まだやれます!」と言いたそうだ。
先生「・・・・はい、みんな拍手!!」
教室「・・・・・パ・・・パチ・・・パチパチパチパチ・」
三善「!!!」
だが、強制的に席に帰されてる三善くんの足取りは重い。
帰りたくなさそうだ。
三善くんの席は私のすぐ後ろ。
席に着いたあとずーっとひとりごとをブツブツ言っていた。
『まだ100までやっとらん・・・まだやっとらん・・・ブツブツ・・・・』
私の背中にしみ込ませるように、小声でブツブツと言っていた。
だが三善くん。
セコンド(先生)の判断は正しい。
残念ながら、8面を過ぎたあたりからほとんど違いがわからないのだから・・・。
ちなみに、その日から、三善くんは「百善くん」というアダ名になっていた。
そんな中学一年の春。

自己紹介って大切だよね。
おしまい。
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